新宿ツバメ亭

新宿ツバメ亭

竹蔵 与太郎小話10

 「ツバメがどうしたて言うんだ。明日の、婆さんの顔が見てえな。あの煎餅におおあたりで青い顔して藪医者の所へ行くに決まってるぜ。

 「一寸ひどいことをしすぎたんじゃないかな。帰りに晩飯のおかずまでもらっちゃって。なんか、気分がしっくりしないんだがな。」

 「与太お前は、相変わらず弱気でしょうがねえ。明日の朝を楽しみにして異様じゃあないか。」

 「それじゃあ、今日は帰って明日の朝、お米婆さんの家をのぞきに行こう。」

 「あの小うるさい世話焼きの婆さんには俺も、閉口してるんだ。顔を合わせるとなんだかんだと小言を言って俺の素行が悪いの、まじめに仕事をして早く所帯を持てとか、その時は良い娘を世話するとか、アレとアレとは付き合わない方が良いとか、小うるさくてしょうがないんだ。
一寸、懲らしめてやれば面白かろうぜ。」

 「兄い、それじゃあな」

 「明日の朝、俺が言ってから婆さんの所をのぞきに行くんだぞ。お前一人で行くなよ。」

 「わかったよ。」

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