新宿ツバメ亭

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竹蔵 与太郎小話2

 「それで、おめえ何か言ってやったかい?」

 「もちろんさ、『婆さんがくれた魚を食って昨日の夜から腹痛だどうしてくれる。』てね」

 「そう言ったら、あの婆なんて言いやがった」

 「くやしいことにこう言ったんだ『あたしも同じ物を食べて何ともないんだから、あんたは、豆腐の腐った物でも一緒に食べて腹をこわしたんじゃないかい。今の季節は気をつけないとね。まだ昨日の魚の頭の方が少し残っているから、あたしは今朝食べようと思っていたけど、あげるから食べてごらん腹痛なんかにならないことが良くわかるはずだよ。』といって昨日の魚の味噌煮の頭の方を、おれにくれたんだよ。」

 「おめえ、まさかそれを食ったじゃあるまいな。」

 「せっかくだから、朝飯のおかずにして食っちまったよ。」

 「そこがお前の浅はかなところだ。それでどうなったい。」

 「腹がますます痛くなって、仕事にも行けねえ、親方に断りを入れて、どうしても辛抱できないので、大海医院へ行ってこようと思って出てきたときに、竹兄いに会ったて言うわけだ。」

 

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