新宿ツバメ亭

新宿ツバメ亭

竹蔵 与太郎小話8

 「そう言えば、お米さんはこの頃顔の色つやも良いし元気そうだけどなんか秘訣があるんですか。」

 「与太さんなかなか目付どころが良いね。あ、この煎餅なかなか美味しいじゃないの。」

 「どんどん食べて下さい。お好みならまた持ってきますよ。」

 「あたしは最近、ツバメの巣の健康食品を食べてるから、風邪知らず・腹痛知らず・花粉症は何処かへ消し飛んでしまったよ。なんだか皺も伸びてきたような気がするんだよ。」

 「ツバメの巣というのは、六兵衛さんの家の軒下にあるあのツバメの巣ですか。」

 「与太さんは、何にも知らないんだね。あんな泥と草や藁で造った物が食べられるわけがないじゃあないか。
あたしが食べてる燕の巣は、遠い南洋の空を飛び回っている、アナツバメというツバメの巣なんだよ。」

 「それをどうするの」

 「このツバメは、夜も昼も飛び回って、飛びながら眠ると言われてるんだよ。」

 「随分器用な鳥もいるもんでね。」

 「与太さん、この鳥はそればかりじゃないよ。真っ暗闇の中を何千羽何万羽というのが飛び回って、何処にも当たらないと言うんだよ。」

 

 

 

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