新宿ツバメ亭
与 「闇夜に目が見えるのかね」
米 「そうじゃないよ、コーモリのように音に反応する機能があって、絶対に仲間同士も陰にもあたらないんだよ。」
与 「いつも飛んでばかりいて、眠りながら飛んでいるアナツバメがどうして巣を作るの。」
米 「それは、卵を産んで子を育てるときだけ、高い洞窟の岩の上にアナツバメの雄鳥が唾液腺から出る物で巣をつくるんだよ。
雛が巣立つと、巣は用済みになり、これを人間が集めて、ご馳走の食材にしたり、化粧品にしたり、健康食品にしたりして利用しているんだよ。」
与 「へー、初めてきくおもしろいはなしだね。あれ、お米さん煎餅全部食べちゃった。」
米 「あれあれ、話に夢中になってボリボリやっている内にすっかり食べちゃったよ。ごちそうさま、このお器に今日の晩ご飯のおかずをお酢酢分けするから、持って帰って。」
与 「やあ、すみません。じゃあ、この辺で失礼します。」
与 「兄い、行ってきたよ、お米婆さん煎餅全部食べちゃったよ。なんだか、闇の中でも仲間にも、崖にもあたらないアナツバメの話を熱心に話していたぜ。」