新宿ツバメ亭
「よう八 ツバメの巣って知ってるかい!!」
「なんでえ熊 ツバメの巣なんて俺の長屋の軒下になん何年も前からあるぜ!!」
―隣同士の長屋住まい、八っあんと熊さんの世間話―
いつまで寝てんだ!もう昼過ぎだぜ!!
熊「何を言ってやがんでえ。おめえは大工で、俺は左官だ、昨日(ユンベ)おめえのこしらえた造作に壁を塗って仕上げたのは俺だぜ。おめえよりよっぽど遅くまで普請にかかっていたんだぜ。それでも朝からこの通りピンピンしてるぜ。」
八「それもそうだ、ところで、どうしておめえは、そんなに元気なんだい。3月ほど前はふらふらして、仕事もろくにできねえ、もうおしめえかと思ったによ。そういやあ、ツバメヤ屋の大旦那も随分達者になったもんだな。半年前はどうなることかと思ったのに?今では、顔の色つやも良いし足腰もしっかりしているし、何があったんだろうな。」
熊「ツバメ屋の大旦那の事を話す前に一寸おまえに聞いとかなくちゃあならない事があるんだ。おめえ、最近ツバメの巣てえものがえらくはやってるのを知ってるかい?」