新宿ツバメ亭

新宿ツバメ亭

大工の八と左官の熊4

「そりゃてえしたもんだ。次には是非俺も蒲焼きのゴチになりてえな。ところで、おれがこれからおまえに話すツバメの巣の話は、みんな藪井竹庵先生とツバメ屋の大旦那からから聞いた話さ。蛇の蒲焼きどころでないたいそうな話さ」
ツバメヤの大旦那はどうしてあんなに達者になったんだい

「そう言えばツバメ屋の大旦那は、最近随分元気になったのは、なんか訳があるのかい?」

「そのことよ、実はな、半年ほど前、本町の角を通りかかると大勢の人だかりがしてたんだよ。『一体どうしたんだい』と、聞いてみると『身なりの良いご隠居が行き倒れている』と言うことだったんで、人をかき分けて近寄ってみると、なんとツバメ屋の大旦那よ。『大旦那どうしました』と聞くと、俺に気づいて『おお、熊さんか店の者を2〜3人よんできておくれ』というんだよ。しかしな、呼びに行っている間に大旦那がどうにかなったら大変だと思って、『大旦那あっしが、藪井竹庵先生のところへお連れしますよ』と言って、大旦那を背負って竹庵先生のところまで駆けたのよ」

続き

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