新宿ツバメ亭

新宿ツバメ亭

大工の八と左官の熊6

「そんじゃ何かい、真っ暗闇のなかでもアナツバメてえのは、目が見えるのかい」

「そうじゃあねえんだ、アナツバメてえ鳥はな、明るいところでは目が見えるけれど、暗いところではコウモリみてえに、音で方向を定めて飛び回るから鳥同士ぶつかり事もないし飛んでる虫は器用に捕まえることが出来るんだあな。それでな飛びながら眠るというんだぜ。」

「そりゃ、てえしたもんだな、俺も暗闇で提灯が無くても人にぶつからずに歩けるようになりてえな。」

「馬鹿野郎!!おまえにそんなことができりゃあ、おめえは夜ばっかり働く盗人にでもなっているぜ。明るいお天道様の下でせっせと働くのが、俺ちの定めさ」

「ところでそのアナツバメとやらの巣はどんなもんなんだい」

「このツバメはな、いつも飛んでんだ、ところが繁殖期になると雄が高い崖の岩場にツバキを固めて巣を作るのよ。雛たちが巣立つとその巣はもう使い捨てだ。それを人間がハシゴをかけたり縄を伝ったりして集めてくるのさ。高い崖から落ちて死人も出るそうだ。

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