子供のころから、童謡で「富士は日本一の山」と歌っていたが、登ってみると、誰でも登れるが、油断すると誠にシンドイ、夏でも危険な山であった。
冬に行く人は重装備で命がけ、足を取られて滑り始めたら止まらないそうだ。富士山の遭難事故は冬とゴールデンウイークに何件も起っている。
中学3年の夏、父と一緒に富士山へ登った。最初の日は、汽車を降りてからバスで五合目まで行き、山荘に泊まった。
翌朝は、四時ころから歩き始め、初めはふざけて走ったりして、父からゆっくり歩けとたしなめられた。六合目近くになって樹木のないところへかかったころから、これは大変だと思い始めた。金剛杖に各合目の小屋で焼き印を押して貰い、これを励みに登っていったが、行けども、行けども頂上が見えない、途中の山小屋のおじさんに頭の上にそびえている所を指してアレが頂上ですかと尋ねると、あそこは八合目だと答えてくれた。八合目まで登って上にそびえるところが頂上かと思うと、あれは九合目だと言う。
九合目を過ぎて、険しいジグザグの道を登って行くとやっと、山頂の浅間神社の鳥居が見えてきた。
|