新宿ツバメ亭

楽しく読む絵本

ノコちゃんの赤い靴(クマ)

 お兄ちゃんは、クマをじっと見ています。そのうち、クマは三太郎から奪い取った太い棒を放して、のっしのっしとお兄ちゃんの方へ近づいて来ました。

 ノコちゃんが震えていると、お兄ちゃんはニッコリ笑いながら「クマ乱暴者の三太郎を追っ払ってくれた有難う。こっちへおいでよ」と言って手をさしのべました。

 クマは大きな尾っぽを激しく振りながらお兄ちゃんのそばへ来ると、お兄ちゃんの足下にの転がりました。お兄ちゃんが頭をなぜると嬉しそうに「クンクンと」言って、一層強くしっぽを振りました。

 「クマ、有難う、もう家へお帰り」とお兄ちゃんが言うと、クマは立ち上がって、時々、後ろを見ながら街角を曲がってどこかへ行ってしまいました。

 ノコちゃんはお兄ちゃんを見上げて「お兄ちゃんて、すごいんだね」と言うと、お兄ちゃんは「僕はお兄ちゃんだからさ」言って胸を反らせました。お兄ちゃんは「さあ、急いで帰ろうお母さんが心配してるといけないから」と言って、ノコちゃんの手をしっかり掴むと歩き始めました。

 遠くで、何処かの教会の鐘が鳴っていました。

 

 

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