平安末期から、鎌倉初期にかけての、歌人として有名な西行法師は日本中を歩き回って歌を詠んだ。当時は、非常に物騒なところが多かったが、それを恐れずに旅をした人である.『山家集』が有名である。
西行法師は元、同年代の平清盛とともに鳥羽院の北面の武士を務めた屈強な武人で、平安末期の源平争乱の光氏と発端となる、保元・平氏の乱に関与して様々な働きをしている。そのような武人であったから、山賊も強盗も名前を聞いただけで一目散に逃げ出したというのである。
近世では、江戸時代の俳人松尾芭蕉は多くの旅をして、句作に専念している。特に有名な「奥の細道」の冒頭は「月日は百代の過客(旅人)にして、行き交う年も又旅人也」と言う名文句から始まる。
明治・大正・昭和に生きた、若山牧水も旅に明け暮れる生活の中で、旅と酒の歌を多くノコしている。
旅をし続けた詩人のあし後をたどってみると、月日の移り変わる中で、私たちが生きていること自体、旅を続けているのかも知れないと感じさせられる。