生まれ所(故郷と言っとこう)を離れることを旅と考えることも出来るだろう。
故郷を離れたと実感する人は、生まれ故郷に対する、深い哀愁の念が誠に深い。
石川啄木のように、石を持って追われるように故郷、渋谷村を去った人が、終生、故郷を、懐かしんで詩を書き続けた例もある。
又、故郷を離れて遠くの国へ『防人』として送られた庶民哀切な歌が万葉時代には数多く掲載されている。その憂愁の響きを現代人は、にも涙を誘う。
現代では、帰る家もなく耕す土地もなく、日々企業の一員として働くことを天命と感じて、毎朝満員電車に乗っている多くの都市エリートまたは都市難民がいる。
その人々は、何時の日か自分の故郷に帰れることを願い彷徨している旅人かも知れない。