勿論、旅では不測の事態に遭うことも度々ある。旅先で食べたもので食中毒を起こして、生死の境をさまようともある。予約した汽車や飛行機が台風やその他の事情で突然運行停止となり、予定通りに目的地へ行けないと言う事態も起る、もっと困るのは盗難にあって荷物一切を奪われどうして良いか戸惑うこというもある。日本国内ではあまりないと思うが、海外では何処でも起る災難である。

　国内でもないことはない、東京に単身赴任していた友人が東海道新幹線に乗って大阪の家族の下へ久しぶりに帰るときに、スーツの上着を網棚に乗せて、うとうとしているといつの間にか、彼の内ポケットに入れておいた財布が消えてなくなっていたと言うことがあるそうである。

　旅のいろいろな長所欠点を考えると、旅は、私たちに創造性・空想力・それに刺激的な喜びをもたらすとともに、様々な危機管理の実践場を与えてくれるのではないだろうか。

　旅をしてたとえ泥棒に、一切合切荷物を取られても、損をすることはない。しかし、食中毒・交通事故・強盗などの難にあって、命を取られないようにするための細心の注意だけは払わなければならないだろう。

　そこで、これまでの旅のことを考えてみた。自分の家を離れ、何処かへ行ってしばらくの時間を過ごす。其れは、日常生活では体験できない多くの刺激を受ける素晴らしい時であるとともに、我が家のありがたさを再認識する時間でもあった。