新宿ツバメ亭
さて翌朝
竹 「与太起きてるかい。婆さんの様子を見に行こうぜ。」
与 「兄い、大丈夫かな。もしお米婆さんが死んでいたりしたらえらいことだぜ。煎餅を食わせたのは俺だから、毒を盛った殺人犯になってしまうんじゃないかな。もっとも兄いの知恵で造った物だから兄いだってただではすまないだろうよ。」
竹 「脅かすない、一寸したいたずら心でやったことだ。それもお前のためにやってやったことじゃあないか。びくびくしないで、婆さんの様子を見に行こうぜ。」
お米婆さんの家の前まで来ると、中からがらっととが開いて。
米 「あれ、朝早く二人してどうしたんだい。まじめに仕事に行こうてんだね。感心だ、しっかり仕事をしてしっかり稼ぐんだよ。そのうち良い娘(コ)を紹介してあげるよ。」
竹 「どどどうも、ほんとに良いお天気で、お米さんもいつもお元気そうで何よりですね。・・・・昨日から腹痛なんか起こしてませんか。」
米 「あらいやだ、私はこの通りピンピンしてるよ。これも、あんた、多分アナツバメのお陰かね。」
与 「それで解った。闇の中でも何処にもあたらずに飛んでいるアナツバメの巣を食べてるから、何をた食べても、当たらない(食中毒)んだ。」