新宿ツバメ亭

竹蔵与太郎小話７

与　｢うんわかった、行ってこよう｡｣

竹　｢途中で、婆が『あんたも一緒にお食べ』なんて言っても手を伸ばすんじゃないぞ。そういうときは、『一杯貰ったので家にはまだありますので、これはお米さんだけでお上がり下さい』て言うんだぞ。間違って手を出すなよ。それからこれをどこから貰ったと言われたら、『草加にいる伯父さんからの到来物ですと言うんだぞ』お前の伯父さんが草加にいるか何処にいるか婆さんは知らないだろう。俺と一緒に造ったなんてことは言っちゃあいけねえぞ。それだけ頭にしっかり入れて行ってこい｣

与　｢うん、よくわかったでは行ってこよう、明日あたりが楽しみだね｡｣

がらがらがら

与太　｢お米さん、今日は、昨日、美味しいお魚の味噌煮を貰ったお礼に草加の伯父さんが送ってくれた煎餅を持ってきました。是非、食べて下さい｡｣
お米婆さん｢与太さん随分気がきくじゃあないか。これは美味しそうなお煎餅だね。今御茶を入れるから一緒に食べようよ｡｣

与　｢・・・あたしは、一杯貰った物が家にもたくさん残ってますので、これはお米さんがみんな食べて下さい｡｣

米　｢与太さんも随分大人になって立派な挨拶が出来るようになったもんだね。｣

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