一番負けたのは、宿屋のオジサンで宿代をみんな棒に振ったのかも知れない。
翌日、礼文島の埠頭の屋台でラーメンを食べて、稚内へ帰ってきた。
稚内からは、又夜行列車を利用して帯広まで下り、帯広からバスで、紅葉が綺麗だという、然別湖山田温泉へ行った。しかし生憎紅葉は既に終わって枯葉の山が横たわっていた。
宿の部屋には小さなストーブがあり石炭がぎっしり詰まって、下の方から少しずつ燃えている。それは翌朝まで燃え続けていた。
ザリガニの丸揚げなど、初めて目にする食事に驚きながら一夜を明かす。
次の日は、帯広まで戻り東へ行こうか南に行こうか思案したが、南へ行くバスが早く来たので南の襟裳岬に向かうことにした。
バスは襟裳岬まで行かなかったがバス停に襟裳岬の旅館の人が居たので、ためらわず車に乗せて貰って襟裳岬の旅館に着いた。
襟裳岬は殺風景なところだったが、海の上に突き出た岩の上に立つ、白い灯台とそのあたりにいる羊の群れが印象的だった。何かとても遠いところまで来たという思いに駆られた。賑やかな観光地より、閑散とした景色は一層忘れがたい。
その後、汽車を乗り継いで、洞爺湖で昭和新山を見たり、登別温泉で熊牧場を見学したりときわめて無計画な泊まりを重ね、北海道最後の夜は苫小牧で泊まった。
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