旅の準備は、飯盒、リュックサック、食料などの調達で、マグロのフレークやサバ缶など安い缶詰を数多く買い集めた。それを持って帰るとき、あまりの重さに驚いた。これを担いで行くのかなと思って一寸不安になった。
いよいよ出発の日、二人は大きな重い荷物を背負って、上野駅から夜行列車で、沼田へ向かった。汽車は超満員で、通路も大きなリュックサックで覆い尽くされていろ。途中の駅で、窓から出て小用を足し発車時に何人かに窓から引きずり込まれた者もいた。数時間で沼田へ着き、重い荷物を担いで、バス停に急ぐ。これも大変な競争で皆、重いリュックサックを担いで小走りにバス停に向かう。
中には、小屋泊まりの人か比較的軽装な人がいて、彼らは軽々と人並みをかき分けてバス停に向かう。
兎も角、我々も、バスに乗り尾瀬の入り口大清水まではたどり着いた。
バスを降りて歩き始めると早速、道を間違え沢の方へどんどん降りて行ってしまった。途中で気がついて逆戻りをするのが悔しいので、しゃにむに急峻な坂を登っていくと、上の道を歩いていた人たちが「沢登りをしていたのですか」と言って、手を貸して我々を引き上げてくれた。大げさに言えば、九死に一生を得と言うのはこういうことかも知れない。
それから、登り道を三平峠まで進み後は下り坂を、尾瀬沼まで歩いた。
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