彼の荷物をおろさせ、三人で彼の荷物を分けて持ち、彼を空身にして、歩き始めたそれでも遅れがちだったが、尾瀬沼の近くへ出てあまり高低のない道へ来ると、みんなと同じペースで歩けるようになり、雨の中を歩き続けた。雨は続いている。やっと雨の上がった午後3時頃に、当日の宿営地檜枝岐へ到着した。
先ず、テントを設置して、Nを寝袋に押し込んでテントの中へ寝かせた。彼は精も根も尽き果てたように寝てしまった。
今回使っているテントは、Nが友人に借りてきてくれた物で四人が入れる上に、グランドシイともしっかりしているので雨の降った後のキャンプ場でも水はあまりしみこんでこない。
三人は手分けして夕食作りをする。持って来たコンロにコフェル(鍋)をかけ味噌汁を造る、石を積んで造った竈に山小屋から買ってきた薪をくべ、飯盒を乗せて飯を炊く、次には持ってきた肉と野菜で炒め物を造るという、きわめて順調な運びで夕食の準備は、短時間で整った。
雨上がりの山の中の夕べ、テントの外に石や倒木を並べ晩餐会場を作り、疲れ果てて寝込んでいるNを起こした。持ってきた缶詰をいくつか開けて晩餐を飾る。
|