誰言うとなく、食事を作ろうと言うことになった。朝食に加えて昼食用のにぎりめしを造り、朝食後、これからどうするかという話し合いになった。「今日一日様子を見て明日天候が良ければ頂上を目指そう」という意見と、「雨が強くならないうちに、すぐに下山した方が良い」という意見に分かれた。そんな中で山登りが不得手な肥満体のMは、「食料は今日の分しかない、明日までここにいることは出来ない」と強硬に下山を主張した。 食料がなくてはしょうがないと言うことで、みんな一応納得した。 昼前まで天候の回復を待ったが、霧は一向に晴れず天候は悪くなる一方である。 これはぐずぐず出来ないと言うことになって、テントをたたんで下山にかかった。回りのテントもそそくさとかたづけて下山する者が多くいた。 我々の判断は正しかったのだろう山登りでは無理をしないのが事故防止の第一の秘訣である。 そんな訳で、残念ながらこの旅行では、念願の日本アルプス3000mの高嶺には到達することが出来なかった。